吉 良 港
 さあ お立ち合い、
 ガマはガマでもそんじょそこらのオンビキとはチョット違う四六のガマちは、前足が四本で後足が六本、このガマから油を取り出すは、たてが九寸五分、横が七寸二分の箱の四方に鏡を立て、ガマを追い込のが秘伝の始まりだ・・・。
 あっ、姐さん親分は?
 いえね姐さんあれほど朝から晩まで、手を取り合っているお二人が、はぐれて仕舞うなんてことが、あるんですかねぇ
 お前さん、何処へ行ってたんだよぉー心配させて・・・んん、仁吉の馬鹿っ
 済まねぇ、すまねぇ、だがおきくお前ぇがいけねぇんだぜ、市松人形が可愛いから買って来ると、俺らの手を振り払うから、こうゆう事になるんじゃあねえか、
 仁吉兄ィ、桑名の磯部天神の観進賭場で、安濃一家の若い者が振り出したイカサマから火がついて逆因縁を付けられて、大喧嘩、そのかたに荒神山を取られて仕舞ったんだ。  お前ぇ済まねぇがな・・・この手紙を持って桑名の兄貴に届けて貰いてぇんだ。
 ちょっとお待ちよ・・・。あたしが桑名まで行くのかい?
 昔は随分通り慣れた三州街道久しぶりに歩くのも又良い物だよ。
 姐さん、留守の事は三蔵に任してやっておくんなせぇ、それよりか、どうか無事のお帰りをお待ちしておりやす。
 これは、あたしへの離縁状!なに故の離縁でござんす。去り状でござんすか、お前さぁ〜ん。
 おきくぅ、お前に何の罪もねぇけれど、今となっては、家に置けねぇ訳がある。
 馬鹿野郎、やい長吉っ、手前ぇ今になって、それを言うくらいであったなら、なぜ、最初っからこの話を持ち込んだぁぁ〜〜!  散るも花なら咲くも花。散って綺麗な花もありゃあ。散らずに醜い花もある、散って咲かすが人の花、三河男の土性骨じっくり見せてやろうじゃねぇか!
 目指すは、伊勢の荒神山っ野郎達、支度しろィ!
 それほど欲しい荒神山なら、腕で取り戻せっ・・・
 それじゃあ兄さん、いや、安濃の貸元っどのようにお願ぇしても、聞き入れちゃあ頂けねぇんでござんすか・・・!
 おきくぅ
 勘弁して呉れよなぁ短い月日だったが、仁吉は幸せだったぜ、有難うよ。
 仁吉さん、この世に薄い縁でもあの世とやらは、一蓮托生、ハスの掌の槃座を受けて二人仲良く暮しなせぇ〜